寒の内の過ごし方


1月20日の大寒を過ぎましたが、今が一年の中で最も寒い時期にあたります。

小寒(1月6日)から立春(2月4日)までの30日間を寒の内といい、大寒はその真ん中にあたります。


寒稽古など、耐寒のためのいろいろな行事が行われ、昔はこの寒気を利用した食べ物(高野豆腐や寒天、酒、味噌)がこの時期に仕込まれてきました。

ついた餅を寒の時期に自然乾燥させたものを「寒餅」といいます。もともと農村で保存用に作られ、重宝なおやつとして焼いて食べられてきました。


また、寒の内の間に汲んだ水のことを「寒の水」といい、この時期の水は、雑菌が少なく体にも良いとされてきました。長期保存に向いているとされ、「寒の水」で作られた味噌、醤油、酒は腐らないと言われています。


マクロビオティックの観点からすると、寒の時期は環境の極陰性に対抗して水も食物も人間も極陽性になると見ることができます。

極限の寒さにさらされるとそれに対処するために、物質も生命も寒さに耐える陽性な力(生命力)を持つのです。


塩漬けや燻製などのように塩や火によって陽性化したものは保存性が高まります。例えば、ゆでた後のうどんやそばを氷水に入れると麺が引き締まり、コシが出るように、寒さ、冷たさを加えた場合も陽性化させることができるのです。(陰極まって陽に転ずる)

この陽性化の原理を体験的に昔の人は気付いていたようで、寒の時期に長期保存用の食材を仕込んできたのです。


ところが、暖衣飽食の現代社会では、寒の内であっても住宅に暖房が完備され、甘い砂糖を含んだものや果物など、陰性なたべものも豊富にあるので、体が引き締まるどころか、かえって緩んで陰性化してしまい、風邪などの感染症にかかりやすい状況になっています。


マクロビオティックの創始者の桜沢如一先生は、その著書『永遠の少年』の中で、若い頃に寒さ、ひもじさ、といった厳しさを経験させると立派な人間になれる、と語っています。

とはいっても、暖房なしの生活をすることは難しいでしょう。どうすれば体を陽性化し、人間の保存性(健康長寿)を高めることができるのでしょうか。


それは、『プチ断食にあり』なのです。少食や素食、プチ断食を実践すると体が引き締まり、陽性化するのです。陽性化とは求心力(引き寄せる力)なので、思ったことが現実化しやすくなります。

わたしも断食中によくシンクロ(共時性)が起こるのですが、素敵な現実を引き寄せるためにも、ぜひ寒の内にプチ断食をしてみてはいかがでしょうか。


1月17日から冬の土用に入り、2月3日の節分まで続きます。

土用の時期は胃腸のトラブルが起こりやすくなりますが、冬の土用は腎臓の弱る時期でもあり、冷えによって感染症が多発し、免疫力の低下から亡くなる方が最も多い時期でもあります。


この土用の時期のプチ断食は体が陽性化し、免疫力を上げることができるので、特におすすめです。

ちょうど、年末年始に忘年会、クリスマス、お正月、新年会といったごちそうを食べる機会が多いため、胃腸はヘトヘト状態になっている方が多いはずです。疲れきった胃腸さんへの有給休暇ということで、プチ断食をしてみてください。それが難しいという方は、一日Ⅰ食にしたり、一日だけごはんと味噌汁、漬物だけの素食にするのもよいですね!


また、この時期の食薬としては、霜が降る中で育つホウレン草、春菊、ブロッコリーのような冬の野菜、大根やごぼう、レンコン、人参といった陽性な根菜類を火で煮しめて食べるようにしましょう。

陽性なごぼうを天日干しして焙煎したゴボウ茶、太陽の光を濃縮した三年番茶、玄米に火のエネルギーを加えた玄米コーヒー、寒い大地で鍛えられたタンポポの根を配合したタンポポティー、お腹を温める働きがある葛湯なども体を温めてくれます。


2月4日の立春まで、寒のパワーを活かした生活をしてみてくださいね!