TPPと身土不二の崩壊

TPP(環太平洋連携協定)の交渉が1月中ごろから一気に前進しています。政府は米、豚肉、牛肉に

続き、乳製品の分野でも譲歩する方針を明らかにしています。

このまま行くと、近いうちに日米間で合意になる見込みです。


TPPの内容については、我々国民になんら知らされていないので、TPPに加盟すると何が起こるこかを知っておく必要があります。そこで、「サルでもわかるTPPと食の未来」の作者である安田美絵さんの講義録をご覧ください。問題点がよくわかります。

TPPと身土不二の原則の崩壊

 

 TPP(環太平洋パートナーシップ)に日本が参加することになると、現在関税率800%のアメリカ産のお米の関税がなくなり、安いお米が市場に出回ることで、日本の農家は壊滅的な打撃を受けることになります。日本は食糧自給率39%で先進国中最低の国であるのに、唯一自給できていたお米まで自給できなくなると、食糧自給率が13%まで下がり、グローバル企業に穀物価格を操作され、翻弄されることになります

 

 また、遺伝子組み換え作物推進企業であり、世界中の種を独占しようとしているアメリカのモンサント社の種を強制的に買わされることになるでしょう。その種はターミネーター種といわれていて、成長した作物から採取した種をまいても芽がでないように遺伝子操作されています。そうした野菜や穀物を食べ続けた場合、子供達のアレルギーや成長・発育障害、女性の不妊症、男性のインポテンツのような生殖障害が引き起こされる危険性があるのです。

 

 その土地でできるもの、季節のものを化学的な薬剤を使わずに、生命力の高い状態でいただくことが身土不二の原則です。土壌のミネラルバランスが変われば土壌微生物のバランスも変化します。環境がかわれば顔つきも言葉も、風習も文化も意識も変わるのは、この土壌細菌のバランスの違いが人間の腸内細菌のバランスに違いをもたらし、それによって体つきや意識までもが変わるからです。人間は土の化け物といえますね!

 

 四季折々の変化があり、水や空気が綺麗で温暖な気候風土の日本の環境で育まれた野菜や穀物には、無限に変化する多様性という情報が含まれており、それが世界一感性の高い日本人らしさを培ってきたのだと思います。その土地でできた食べ物には、その土地の環境に適応し、元気に生きるための情報が備わっているのです。「郷に入っては郷に従え」という諺があるように、その風土の醸し出した食物を食べることが、その場所で病気をせずに長生きする秘訣なのです。

 

 ところが、遺伝子を操作され、さらにポストハーベストなどの農薬を大量散布され、大量生産されたイノチのない作物がアメリカから大量に日本に押し寄せることで、日本人の生命力が衰え、さまざまな病気が蔓延するだけでなく、子供が減り、活力のない社会となってしまうでしょう。そして、ついには夢や希望、トキメキ、幸せ感もなくなり、うつ病や引きこもりなどのような統合失調症の傾向が益々増えて行く危険性もあるのです。

 

 世界的な気象の変動現象が加速している中で、今年、アメリカとロシアでは小麦やトウモロコシ、大豆などの主要な穀物が大干ばつにあい、穀物価格が上昇しています。将来世界的な食糧危機が起きる可能性が高い中で、TPP参加で食糧自給率が下がり、そんな状況下で突然海外からの食糧輸入が途絶えれば餓死者が出るようなことになるかもしれません。最低限、米だけでも自給しておくことが食糧の安全保障という観点からも大事なのです。

 

 TPPに参加すれば、遺伝子組み換え食品が市場に蔓延し、そうでない食品を選ぶ自由すら奪われていくだけでなく、防腐剤や防かび剤などの農薬や添加物などが規制緩和され、食の安全基準が緩くなって、健康への悪影響も心配されます。TPP参加は単なる農業問題ではなく、放射能のように、すべての日本人の上に降りかかってくる大問題なのです。


 意識の高い農家では、種の自家採取によって日本古来の在来種の野菜や穀物の種を守ろうとしています。イノチ豊かな種を残すことは、日本人の生命力を高める上でも大切なことです。ところが、TPPに参加をすれば、モンサント社などの種苗独占企業の圧力によって、そのような種を残すことも法律で規制されることが予想されます。

 

 穀物・野菜食がメインのマクロビオティックでは、食材の質(生命力)が何よりも大事な食事法のポイントになります。TPP参加の問題は、大量輸入される生命力のない農作物の蔓延によって日本人の活力が低下し、次に社会の活力の低下を引き起こし、将来的に日本の国力の低下を招くことです。こうした多国籍企業によるグローバル化の波に飲み込まれることなく、ローカリゼイション、スローフード、スローライフ、ロハスといった身土不二の原則を基準においた日本人本来の生き方の方向を目指していきましょう。

 

2013年2月号の「むすび」誌に掲載された私の記事を掲載させていただきます。