釜山のマクロビオティック幼稚園訪問

 1月初旬に韓国の釜山に行ってきました。韓国の首都ソウルに行ったのが30年前なので、久々の韓国訪問です。福岡空港から釜山まで1時間たらずで到着したので、大阪に行くくらいの距離感覚です。寒いと聞いていたのですが、晴天に恵まれて、思ったよりも暖かくて助かりました。

 

 今回の訪韓は、MI塾の塾生で釜山にお住まいの朴さんに誘われて、朴さんの経営されているマクロビオティックの幼稚園の見学が目的でした。朴さんは80歳を超える高齢にもかかわらず、福岡で開催されたMI塾(マクロビオティック指導者養成講座)に2期(2年間22回)と霧島と福岡で開催されたプチ断食セミナーにも参加されています。そのフットワークの軽さにはビックリです。

 

 朴さんは40年前に日本で開催された久司道夫先生のセミナーに参加されてカルチャーショックを受け、それ以降ずっと玄米菜食をされています。朴さんが経営する幼稚園も40年前から穀物菜食になり、韓国では唯一のマクロビオティック食を提供する幼稚園として高い評価を受けています。

 

 朴さんはまた、日本でモンテッソーリの理論を学び、イタリアにも留学して学びを深めています。モンテッソーリの教育法は感覚教育ということで、教具の形、大きさ、手触り、重さ、材質までこだわり、子どもたちの繊細な五感をやわらかく刺激するような配慮がなされています。教具を通し、暗記ではなく経験に基づいて質量や数量の感覚を養うことと、教具を通して感じ取る形容詞などの言語教育も組み込まれています。

 

 韓国に初めてモンテッソーリの教育を持ち込んだのが朴さんとのことです。所得の高い人達の子息がこぞって朴さんの幼稚園に入学したそうです。今でも8倍の入園倍率で、抽選会が毎年なされるとのことでした。

 

 

 朴さんの経営する幼稚園は園児が250名くらいで、釜山市内の小高い丘の中腹に位置しています。その敷地の面積は5,000坪で、山全体が幼稚園の庭と子どもたちの遊び場になっています。その庭からの眺めは最高で、釜山市内の高層マンションが見渡せます。送迎バスも3台くらいあり、ビックリでした。

 幼稚園では暗記教育ではなく、感覚教育ということで、子どもたちが自然と触れ合えるような工夫が随所にありました。洞窟のような穴がいくつもある遊び場や色彩感覚豊かな遊具、子どもたちが駆け回れる広い里山の風景がそこにありました。子どもたちは、アップダウンのある丘での遊びが大好きなのだそうです。

 園庭の丘には梅の木がたくさん植えてあり、収穫した梅を大きな壺に入れて梅干しを作っていました。

畑では子どもたちが白菜を無農薬栽培で作っていて、それを使ってキムチを仕込むのだそうです。この園で使っている食材はすべて無添加のもので、近隣の農家に朴さんが出向いて仕入れ先を開拓されたと言っていました。

 私が行ったときは園は冬休み中だったので、給食の内容が見られなくて残念でしたが、木造の園舎や職員室など、ナチュラルな木の感覚たっぷりの風情ある雰囲気に癒される感じがしました。職員室の一角の倉庫には茶道の道具も沢山あり、子どもたちにお茶の作法も教えているのだそうです。

 

 

 園の一角にある朴さんのご自宅で、朴さん手作りのスイーツをご馳走になりました。タカキビでつくったお餅と、韓国産の黒ごま、白ごま、えごまでつくったゴマおこしをいただきました。中国産のゴマは味がなく、薬が使われているので韓国産のゴマを農家に行って仕入れてくるのだそうです。

 

 黒ごまおこしに入っているピーナッツは朴さんが一つ一つ手で剥いたものだそうで、手間ひまかけて作ってくださったスイーツに心温まる思いでした。

 

 今回の訪問時は、朴さんだけでなく娘さんとそのお婿さんが釜山市内を一緒に車で案内してくれました。手厚いおもてなしにただただ感謝です。