空気中の公害物質が肺炎のリスクを増す

春先になると中国大陸から黄砂が日本に飛散してきますが、同時に公害物質も風に乗ってやってきます。

 

九州ではこの時期に光化学スモッグが発生するケースが多くなります。

 

空気中の公害物質を吸い込むことで、肺炎にかかるリスクが増します。感染症対策としても、空気中の汚れにたいする対処が必要です。そのやり方を解説します。

 

空気中の公害物質への対処法

 

 

問題のPM2.5 食事で解毒や浄化

 

 

中国では車の排気ガスなどに含まれるPM2.5という極めて小さい汚染物質の濃度が高くなり、深刻な大気汚染が続いています。その汚染物質が黄砂と一緒に日本に飛来することによる影響が心配されています。この汚染物質は、ごみ焼却場や工場からの排煙、車の排気ガスからも発生しているので、中国からの飛散だけが問題ではないのです。

 

 

 環境省では大気中のPM2.5の濃度が一日平均で1立方メートルあたり35マイクログラム以下という数値を設けていましたが、新たな指針では、一日の平均濃度が基準値の2倍にあたる1立方メートルあたり70マイクログラムを超えると予測された場合は、呼吸器疾患など、健康に影響を及ぼす可能性が高くなるとしています。

 

 

 春先から初夏の頃まで、黄砂が日本に飛来する時期に、空気中の濃度が高まることが予想されます。その対策として、特に呼吸器に持病のある方は、マスクの着用や外出を控えること、空気清浄機による浄化を専門家はすすめていますが、私は、マクロビオティックの食事法で汚染物質の解毒や浄化をすることができると考えています。

 

発酵食品でサビ取りと薄めた梅酢でうがい

 

 

 空気中の汚染物質は主に窒素酸化物やイオウ酸化物と呼ばれるもので、太陽の紫外線によって化学反応が起きると、光化学スモッグに変化します。以前、日本の高度経済成長期に東京都で空気中のオキシダント(酸化物)濃度が上がり、目やのど、鼻などのトラブルが多発したことがありましたが、中国でも同じことが起きていると思われます。

 

 

 この酸化物が人体に取りつくと、活性酸素が大量発生します。この活性酸素が目や鼻、喉の粘膜に付着すれば、粘膜をただれさせたり、血液の流れを悪くしたりすることで、炎症状態を招きます。そうして目や鼻、喉の毛細血管に血液が目詰まりし、目の充血やかゆみ、鼻炎や鼻水、セキや痰などの炎症反応が起こるのです。でもこれは毒性物質を排泄しようという排泄反応とみることもできます。

 

 

 そうした炎症を改善するためには、活性酸素を除去する食べ物を用いればよいのです。発酵した食べ物には、還元作用といって、細胞をサビさせる活性酸素を除去するサビ取り効果があります。味噌や醤油、漬けもの、といった伝統製法で作られた発酵食品を日々食べていれば、化学物質の解毒がしやすくなります。

 

 

 とくに、梅酢を10倍に薄めたもので、うがいをすることをおすすめします。喉のイガイガ感がおさまるだけでなく、咳や痰も鎮まりやすくなります。梅酢に含まれるクエン酸などの有機酸には、活性酸素よって生じる乳酸などの疲労物質を分解する働きあるので、梅醤番茶を飲むのもよいでしょう。

 

ガレキ処理で体調不良 活性酸素への対処

 

 

 北九州市や大阪市などで東北の震災ガレキの焼却がはじまってから、喉が痛い、声がしゃがれる、咳がとまらない、アレルギーが悪化した、体がだるい、といった放射線による内部被ばくによると思われる症状が増えています。実際、北九州でがれき処理が行われた途端、島原、本州、宮崎などでも放射線量が上がりました。また、ガレキの処理をしている近くの学校では、体調不良を訴える子どもたちが増えています。

 

 

 呼吸器で増えている不快症状の原因が、そうしたガレキ処理によって空気中に漏れ出した放射線によるものなのか、それとも中国から飛散してきた空気中の汚染物質によるものなのか、われわれは判断できない状況にあります。内部被ばくによっても活性酸素が大量発生するので、いずれにしても活性酸素が問題ということがわかれば対処ができます。

 

梅干しや味噌、醤油で身を守る

 

 

 放射性物質による内部被ばくにも梅酢が有効ですが、朝1杯の味噌汁にも強力な解毒作用があります。味噌の中のジコピリン酸に放射性物質を排泄する働きがあることがわかっているからです。また、味噌に含まれるメチオニンというアミノ酸にも強肝作用があり、有害化学物質を排泄する力を高めてくれます。

 

 

 春は解毒作用の中心である肝臓機能が疲れやすい時期なので、肝臓をいたわる酸味として、クエン酸やアミノ酸を含む梅干しや味噌、醤油などを活用することで、空気中の汚染物質から身を守っていきましょう。

 

 

「むすび」誌 (正食協会) 2013年 5月号 連載記事 文 岡部賢二