1.応急手当の必需品・梅酢 食の効用ABC

応急手当の必需品梅酢

応急手当の必需品・梅酢

 

 梅酢というとあまりなじみがない方も多いと思いますが、食中毒が増える夏場にかけて活用すると大変便利です。

 梅の実を塩漬けして、圧してしみ出したものが梅酢で、主として梅干漬けに使います。紫蘇を加えたものが赤梅酢で、生姜やミョウガを漬けるときに使うと色鮮やかになり、保存性が高まります。梅酢は消化器系の病気の予防になるとして、古くから用いられてきました。


 梅酢の一番の働きはその殺菌作用です。梅干よりも、梅肉エキスよりもその殺菌力は強力で、急性の強い下痢や食中毒には即効性があります。これは梅酢に含まれるクエン酸をはじめとした数々の有機酸の働きです。

 クエン酸などの有機酸には分解(エネルギー代謝を良くする)という働きがあり、乳酸や尿酸などの酸化物(血液を汚す疲労物質)を分解して血液浄化をしてくれます。有機酸には分解と同時に解毒という働きもあり、体内に進入したウイルスなどの異物を分解して排泄します。ウイルスの中でもSURSウイルスやノロウイルスのような球形の陽性菌には、有機酸(分解という陰性な働きを持つ)を含む梅酢は特に有効だと思われます。

 さらに梅酢に含まれる自然な塩にも殺菌効果と防腐効果があるので、大腸菌や結核菌のような陰性菌(形が長細い)にも陽性な塩気が抗生物質として働き殺菌します。梅酢はこの有機酸と塩という陰陽2つの成分が合体した結果、何よりも強い殺菌力を発揮するのです。


 梅酢に対して、米酢は溶かしたり、ゆるめたり、冷やしたりという陰性な有機酸ばかりなので、酢豚やしめサバ、酢だこのように、主として動物性タンパク(陽 性)の分解に使います。したがって、あまり動物性タンパクを食べないマクロビオティックには陰陽調和した梅酢がおすすめです。

 そのほかの、梅酢の変った使い方としては、5~6倍に薄めてうがい薬として使うと、安全性が高くて便利です。セキや吐き気が続くときには2~3倍に薄めた梅酢を杯 1~2杯飲むと楽になります。また旅行に出かけるときは、3~4倍に薄めた梅酢をスプレー容器に入れて持ち歩き、時々のどや手にスプレーしておくと感染症 の予防になります。白梅酢よりも紫蘇の殺菌、抗菌力がプラスされた赤梅酢の方に薬効があります。